一日
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茶礼の後で派中(法脈の近い塔頭(たっちゅう))への月初めの挨拶。塔主(たっす)が参行する。
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二日
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栄泉庵(えいせんあん)(今は嵯峨にある曇華院門跡に仕える最高位の尼僧の歴代)が参詣。墓地を掃除し、水桶(おけ)を出しておくこと。
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四日
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朝食が終わってから内外の掃除。僧衆一同は輪住(りんじゅう)所(輪番で管理する他の塔頭子院など)へ出勤すること。 この日、入浴と剃髪(ていはつ)。 但し、客殿ならびに南明そのほか仏壇回りの掃除は念入りにせよ。(開祖月忌の前日のため) 松の真(しん)(花瓶の中心に建てる松の真直な所)、草花(松に添える色花)に気を付け、香合(香入れ)に五種香を入れ、香炉の灰を直しておくこと。 献灯の所々ならびに諸寮の行灯(あんどん)を掃除しておくこと。 庭廻りの掃除、客殿の庭は納所寮(会計の役僧)から出勤せよ。 南明の庭は殿司(でんす)寮(殿舎の役僧)・侍者(じしゃ)寮(塔主給仕の役僧)から出勤せよ。 表門の内外は典座寮が勤めよ。庫裏廻りの庭は客寮(来客係の役僧)が勤めよ。 塔所廻りは役の間ならびに力者(りきしゃ)(労務者)が勤めよ。 但し、輪住所の作業は手分けして加勢すること。 浄頭(手洗い)の掃除は僧衆が順次に行うこと。札(当番の名札)がある。 浴頭(浴室)の掃除も僧衆並びに役の間および力者が順次に行うこと。輪次(当番)の札がある。 南明の茶室に釜をかけること。(南明庵を再興した鴻池了瑛(りょうえい)の父了悟の月忌の懸釜) 祖塔(開祖以下歴代の墓塔)と今橋(鴻池家)の塔所の樒(しきみ)の取替え。
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五日
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片庵(へんあん)(玉林院の開祖月岑和尚)の月忌。 添菜(てんさい)(食事に一品何かを添える)
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六日
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洞雲(とううん)内外の掃除。明日の茶席の準備。
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七日
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洞雲で茶を点てる(洞雲庵の開基桑山宗仙の月忌の懸釜)
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九日
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内外の掃除。諸式四日の例の通り。 浄頭、浴頭の掃除は輪番で行うこと。
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十三日
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祖塔、御霊屋(おたまや)(檀越であった久留米藩主有馬家の墓塔、近代になって全部撤去された)の樒の取り替え。 納所方は讃州寺(さんしゅうじ)(鷹峰の子院)の見廻り、柴の検分をすること。
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十四日
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内外の掃除、諸事例の通り。 但し、裏山大光道筋(みちすじ)(現在の今宮南参道の辺り)の草取り掃除をすること。
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十六日
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常楽(じょうらく)内外の掃除。夢幻(むげん)内外の掃除。 (常楽庵・夢幻庵はともに表門の東側にあった玉林院管下の子院)
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十七日
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栄泉庵塔所の掃除。
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十九日
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内外の掃除。諸事例の通り。
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二十二日
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御霊屋と今橋の塔所の樒の取り替え。
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二十三日
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簑(さ)庵で点茶をする。但し前日に釜の拵(こしら)え、掃除。(南明庵を再興した鴻池了瑛の月忌の懸釜)
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二十四日
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内外の掃除。諸事例の通り。 祖塔の樒の取り替え。 洞雲内外の掃除。 讃州塔へ拝塔。塔主が参行する。(四世仙渓和尚の月忌)
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二十五日
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東西一派(全国にあった玉林院の末寺)並びに諸方に用書(会計書類)を発送する。
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二十六日
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両家(鴻池)の支配人が来院し、月勘定(決算)に立ち合う。
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二十七日
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諸記録を確認し、漏れなく書き入れておくこと。 夢幻内外掃除、常楽も同じ。
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二十九日
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内外の掃除。諸事、常と同様。 但し、大の月は晦日に行う。 月末の支払い。但し判取(はんとり)帳(領収帳)は翌月勘定の節、両家に点覧(てんらん)を頼むこと。 花畑に二度地味(肥料)を施すこと。毎月の上旬と下旬に。 土蔵・米蔵・味噌部屋・柴小屋などの見廻り。毎月五度。輪住所も同様。納所方勤務。 四九掃除の節、所々に掃き寄せた木の葉を風呂焚き、行水(ぎょうずい)の湯などに使う。浴頭の当番の勤め。
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以上が「月次行事」の大要であるが、それを毎月の定例行事としてまとめると次のようになる。
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院内外の掃除・剃髪・入浴 四の日・九の日 洞雲庵の掃除 六日・二十四日 常楽庵・夢幻庵の掃除 十六日・二十七日 栄泉庵塔所の掃除 二日・十七日 祖塔の樒の取替え 四日・十三日・二十二日 御霊屋の樒の取替え 十三日・二十二日 鴻池塔所の樒の取替え 四日・二十二日 手習の清書 二の日・六の日 詩の会 三の日 南明庵懸釜 四日(鴻池了悟月忌) 洞雲庵懸釜 七日(桑山宗仙月忌) 簑庵懸釜 二十三日(鴻池了瑛月忌)
仏前の花暦 一月 柳・梅・椿 二月 連翹(れんぎょう)・山吹 三月 桃・八十八夜菊・仙台萩・えにしだ・金盞(せん)花・夏菊 四月 芍薬(しゃくやく)・藤・杜若(かきつばた)・うつぎ・卯の花 五月 花菖蒲(しょうぶ)・つくも 六月 蓮・桧(ひ)扇・だんどく・撫子(なでしこ) 七月 萩・木とう・日々(にちにち)草・紫苑(しおん) 八月 甲(かぶと)菊・紐(ひも)菊・弁慶草 九月 中菊・小菊 十月 水仙・椿・寒菊 十一月 黒もじ・南天・川柳 十二月 檀香梅(だんこうばい)・葉牡丹
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